もの忘れ・幻覚や妄想
もの忘れ・幻覚や妄想

年をとるにしたがって、脳の神経細胞が減少し「もの忘れ」が増えてきます。これは老化現象の一つとして一般的ですが、この老化現象より早く神経細胞が消失してしまうことが「認知症」という病気です。
初期の段階では、単なる「もの忘れ」と「認知症」は区別がつきにくいですが、「認知症」による症状は通常の「もの忘れ」より進行が早く、体験したこと自体を忘れてしまうなど、重度の記憶障害が起こり、日常生活に支障をきたしてしまいます。アルツハイマー型認知症、血管性認知症、レビー小体型認知症などの種類があり、それぞれ特徴的な症状、経過がみられます。
適切な診断、介護環境の調整が必要となります。認知症の進行を遅らせる抗認知症薬の効果が認められています。
認知症の症状には、記憶障害、判断力の低下、時間や場所が分からなくなるなどの、「中核症状」と、それが元になって問題行動や精神症状として現れる、「周辺症状」があります。
「周辺症状」は家族や介護者の負担を特に増大させますが、上手な対応方法や薬物療法、環境調整により軽減が期待できます。以下に代表的な症状を記載します。
別名「認知症予備軍」ともいわれるものです。
認知機能の低下はみられるが、日常生活を送る上で大きな支障がないものを軽度認知障害(MCI)と呼びます。
調査によると、日本には約400万人存在し、5年間で約40%の方が認知症に移行すると言われています。
認知症の約50~60%を占めるアルツハイマー型認知症では、異常なたんぱく質が脳に蓄積し、正常な神経細胞を破壊し、脳の萎縮を引き起こすといわれています。
緩やかに進行し、短期記憶の障害や判断力の低下などがみられます。
認知症の約20%を占める脳血管性認知症は、脳梗塞や脳出血といった、脳血管障害(脳卒中)により脳の神経細胞が破壊されることにより起こる認知症です。
急激に認知症が進行する場合は脳血管性の可能性があります。
認知症の約10%を占めるレビー小体型認知症は、レビー小体というたんぱく質が蓄積し、神経細胞が破壊されることにより起こります。
手足の震えや歩行障害、動作が鈍くなるといったパーキンソン病のような症状や繰り返す転倒、幻視(あるはずのないものが本当にそこにあるように見える)、意欲の低下などの多彩な症状が特徴的です。
日によって症状が変動する点も診断の上で重要となります。
前頭側頭型認知症では、脳の前頭葉と側頭葉が萎縮し、血流が低下することにより様々な症状が出現します。
感情をつかさどる部位である前頭葉の障害のため、感情がコントロールできなくなり、人が変わったかのように、性格が攻撃的になったり、物事に無頓着で極端にだらしなくなったり、万引きなどの問題行動が出てしまう場合もあります。
初期には記憶障害があまり出ない点がアルツハイマー型認知症とは異なります。
脳のさまざまな働きをまとめることが難しくなる病気で、多くは10~30代に発症し、幻覚や妄想が特徴的な症状になります。人口の0.7~0.8%に発生するといわれており、約100人に1人みられる比較的多い心の病気です。
症状としては主に「陽性症状」と「陰性症状」に分けられ、陽性症状では、幻覚や妄想がよくみられます。幻覚は実際にはないものをあるように感じる知覚の異常です。よくみられるのが幻聴で、その声は自分に対する悪口や噂であったり、何かの命令であったりします。妄想は非現実的なことやあり得ないことなどを信じ込むことです。本人には現実味があり、それが病気の症状だとは気づきにくいのが特徴です。一方、陰性症状では、感情が乏しい、思考能力の低下、コミュニケーションに支障をきたすといったことがみられます。
経過は人によって様々で、非常に薬が効いて、症状のコントロールがうまくいく方と、そうではない方など、いろいろな患者様がいらっしゃいます。早く治療を開始するほど、回復も早いといわれています。ご本人が病気の症状と気づいていない場合もあるので、ご家族や周囲の方が症状に気づいたときには、早めにご相談ください。
統合失調症の治療としては、継続的な薬物療法によって、症状を安定させ、再発予防のため心理教育と生活訓練を行うことが重要とされています。
薬物療法としては、主に抗精神病薬を使って、ドパミンを抑えていきます。抗精神病薬にはさまざまな種類があるため、効果や副作用を確認しながら、ご本人に合ったお薬を医師と一緒に探していくことが重要です。症状が落ち着いても、それはお薬の効果です。薬物療法を中止すると、1年以内に7割以上が再発してしまうと言われています。服薬の中止についてはご自身で判断せず、医師と相談していきましょう。
薬物療法で症状が落ち着いてきたら、心理教育や生活訓練を行いながら、少しずつ社会生活を取り戻していくためリハビリが必要です。デイケア、作業所、訪問看護など社会的なサービスについてもご相談させていただきます。
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